米国商業用不動産と銀行リスク:イエレンとパウエルの見解

イエレン財務長官とパウエルFRB議長は、商業用不動産市場とその資金提供者である銀行に関して、異なる圧力が存在するとの見方を示しています。
イエレン財務長官は、商業用不動産の所有者に「強い圧力がかかるだろう」と述べ、同時に銀行にも圧力がかかるが対処可能であると指摘しました。
これに対して、パウエル議長は特に一部の小規模銀行や地方銀行が商業用不動産への資産集中により損失が見込まれるとの見方を明らかにし、解決には「何年もかかる」と予想しています。
ただし、大手銀行にとっては「対処可能な問題」であり、「過去のような危機にはならない」との見解を示しています。

しかしながら、米国の地方銀行であるニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)は、商業用不動産の損失懸念により最終赤字が当初の予想を大幅に上回る見通しを発表し、株価は時間外取引で一時24%下落しました。
これは、昨年のシリコンバレー銀行の破綻など、銀行セクターに関連するリスクオフの動きが為替市場にも影響を及ぼすことがあるため、今後の市場の動向に警戒が必要です。

さらに、2024年3月11日には、米国の銀行業界を支えるBTFP(銀行間取引ファシリティプログラム)の終了が予定されており、これによって市場の流動性が一気に枯渇する可能性も指摘されています。
過去には、同様の政策終了が重大な市場の変動につながった事例があり、2020年のコロナショックや2008年のリーマンブラザーズの破綻など、重要な経済イベントとの時系列的な一致が見られます。

これらの事実は、過去に起きた事柄の統計に過ぎないものの、経済や金融市場は複雑な要因が絡み合うシステムであり、一つの出来事が連鎖的な影響を及ぼすことがあるため、投資家や市場関係者は常に最新の情報に基づいたリスク管理を心がける必要があります。

目次