アンドリーセン

米大手ベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツがアジア初となる拠点を日本に設けることがわかった。直近立ち上げたファンドにはNTTグループなどが出資している。スタートアップ投資に積極的な日本企業を中国に代わる資金調達先として取り込む。

アンドリーセンは米フェイスブック(現メタ)や米民泊仲介大手エアビーアンドビーへの投資実績がある。IT(情報技術)企業が集まる米シリコンバレーでも著名なVCだ。2009年に設立し、米国外には23年にロンドンに拠点を作っている。日本で拠点作りの調整を始めた。

海外の有力VCが日本に拠点を新設するのは珍しい。スタートアップ育成が遅れている日本は従来、対象にならなかった。ハイテク分野の対立を背景に投資ファンドの資金面でも米中分断が進みつつあり、低リスクな資金の調達先として日本が浮上している。
アンドリーセンは4月までに総額72億ドル(約1兆円)のファンドを立ち上げた。出資元は公表していないが、NTTグループや東京海上日動火災保険が初めて投資した。大手商社など既存の出資者を含めた日本企業からの調達額は数億ドルにのぼり、全体の5%程度を占めたもようだ。

アンドリーセンとNTTグループはコメントを控えた。東京海上は出資を認めた。

資金の出し手の日本企業と投資先のスタートアップのマッチングなどに新設する拠点を活用するとみられる。新ファンドは人工知能(AI)に注力する方針で、投資先企業の市場としても日本を有望とみているようだ。日本での投資実績はないが、将来は日本で投資活動をする可能性もある。

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