アメリカのクレジットカード延滞率上昇: 経済回復の裏で増える金融負担
アメリカ経済がパンデミックからの回復を遂げようとしている中で、消費者の金融負担が増大していることが明らかになりました。金融ニュースプラットフォーム『Seeking Alpha』の報告によると、大手カード会社8社中3社(キャピタル・ワン・フィナンシャル、ディスカバー・フィナンシャル、ブレッド・ファイナンシャル)で、延滞率がパンデミック前の水準を上回っています。これは、経済活動の再開と雇用増加のポジティブな効果にも関わらず、多くのアメリカ人が直面している金融上のストレスの高まりを示しています。
パンデミック中、政府からの給付金や学生ローンの支払い免除などの救済措置が実施されました。これらは一時的には経済的負担を軽減しましたが、経済が正常化するにつれ、消費者は物価上昇と戦いながら、生計を立てるためにクレジットカードを利用するケースが増えています。
『PYMNTS』とLendingClub社が2023年5月に行った共同調査によると、アメリカの消費者の約57%が給料から給料への生活を送っており、わずか32%の人々のみが貯蓄に余裕があると報告しています。この数字は、日々の支出を賄うために貯蓄を切り崩しているアメリカ人が多いことを示しています。
クレジットカードの返済で苦労している人々の中には、平均して彼らの貯蓄の157%に相当する額を支払っているという衝撃的な事実もあります。このような状況は、彼らが貯金を全て使い果たしてもなお、返済に追いつけないことを意味し、アメリカ経済における深刻な問題を示唆しています。
さらに、経済的困難に直面している人々が、将来のための資金である401k(確定拠出型企業年金制度)に手を付けているという報告もあります。これは、現在の金融状況に対処するため、消費者がどれほど追い詰められているかを物語っています。
これらの現状は、アメリカ経済がパンデミックからの回復途中にあっても、多くの家庭が直面する経済的な挑戦を浮き彫りにしています。政府や金融機関には、消費者の負担を軽減し、経済的基盤を強化するための対策を講じることが求められます。同時に、消費者自身も、より賢明な金融管理と持続可能な生活設計に向けた努力が必要です。今後のアメリカ経済の健全性は、これらの課題への対応にかかっています。