対外・対内証券投資
財務省が9日発表した対外・対内証券投資で、8月の国内投資家の海外中長期債の買越額は7兆3370億円と過去最大となった。8月に一時1ドル=141円台まで円高が進み、保有資産全体に占める外国債券の比率が低下。年金などのリバランス(資産配分の調整)を目的とした買いが膨らんだ。
投資家別に見ると、中心的な買い手は年金と銀行だった。年金などから受託した資産を運用する信託銀行(信託勘定)が2兆8069億円と、2020年11月以来の買越額となった。銀行等(銀行勘定)の買越額は2兆6574億円だった。一方、生命保険会社は5381億円の売り越しだった。
全体では大幅な買い越しとなり、統計がある05年以降でこれまで最大の買越額だった16年7月の5兆4494億円を上回った。
背景には、外国為替市場で急速に進んだ円高がある。米景気減速に対する警戒感から米連邦準備理事会(FRB)の大幅な利下げ観測が台頭。8月1日に一時1ドル=150円台に下落していた円相場は5日に一時141円台まで上昇した。
JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長は「円急騰を受け、年金などが資産全体に占める保有割合が下がった外国債券を買い増したのではないか」と話している。
141円が底打ちだと見て、
ドル建て外債を過去最大に買っているとデータが出た。